「もしかして、周りに気づかれてる…?」そんな不安を抱えながら毎日を過ごすのは、本当につらいですよね。
おりものの臭いがズボンまで届いてしまうというのは、決して珍しい悩みではありません。
実は多くの女性が同じような経験をしていて、誰にも相談できずに一人で悩んでいるケースが少なくないのです。
この記事では、ズボンまで臭ってしまう原因から具体的な対策、病院に行くべきタイミングまで、あなたが知りたい情報をすべてまとめました。

編集部
「これって普通?」「病院に行くべき?」そんな疑問にしっかり答えていきます。
目次
【まず結論】ズボンまで臭うのは“正常ではないことが多い”

結論から言うと、おりものの臭いがズボンを通して感じられるほど強い場合、それは正常な状態とは言えません。
健康な状態のおりものにも多少の臭いはありますが、下着を超えて衣類まで臭うというレベルは、何らかのトラブルが起きているサインと考えるべきです。
ズボン越しにニオイを感じる状態はどれくらい異常?
「自分だけが気にしすぎなのかな…」と思っている方も多いかもしれません。
ズボン越しにニオイを感じるということは、かなり強いニオイが発生している証拠。
通常のおりものは、下着に付着した状態で至近距離から嗅いでやっと分かる程度の臭いです。
座っているときや立ち上がったときにふわっと臭う、トイレで個室に入ったときに気になる、そんな状態なら、膣内環境が乱れている可能性が高いと考えてください。
これは「気にしすぎ」ではなく、体が発している大切なサインです。
放置すると悪化しやすい理由
なぜ放置すると悪化するのでしょうか。主な理由は3つあります。
- 菌の増殖
- 蒸れ
- pHバランスの乱れ
まず、菌の増殖です。膣内の善玉菌が減って悪玉菌が増えると、さらに環境が悪化していきます。
悪玉菌は増殖する過程で強い臭いを発する物質を作り出すため、時間が経つほど臭いは強くなっていくのです。
次に、蒸れの問題。ニオイが強いということは、おりものの量も増えている可能性があります。
湿った状態が続くと雑菌が繁殖しやすい環境になり、さらにニオイが強まるという悪循環に陥ります。
そして、pHバランスの乱れ。健康な膣内は弱酸性に保たれていますが、このバランスが崩れると自浄作用が働かなくなり、感染症にかかりやすくなってしまうのです。
汗臭とおりもの臭の違い
「これって汗の臭いじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
確かに、デリケートゾーンは汗をかきやすい部位ですが、汗臭とおりもの臭には明確な違いがあります。
汗の臭いは、どちらかというと酸っぱいような、ツンとした臭いで、運動後や夏場に感じる体臭に近い印象です。
一方、おりものが原因の臭いは、生臭さや発酵したような臭い、時には魚が腐ったような臭いがします。

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この違いを見極めることで、適切な対処法が選べるようになります。
周囲にバレるレベルのニオイ「3大原因」

ズボンまで臭うほどの強いニオイには、必ず原因があります。
「なんとなく臭い」わけではなく、具体的なトラブルが隠れているのです。
ここでは、特に多い3つの原因について解説していきます。
細菌性腟症
ズボンまで臭うほどの強いニオイの原因として、圧倒的に多いのが細菌性腟症で、実に8割以上のケースがこれに該当すると言われています。
特徴的なのは、魚が腐ったような生臭いニオイです。

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「なんか生臭い…」と感じたら、まずこの病気を疑ってください。
細菌性腟症は、膣内の善玉菌(デーデルライン桿菌)が減少し、代わりに複数の雑菌が異常増殖することで起こります。
ストレスや疲労、抗生物質の使用、性交渉などがきっかけで発症しやすくなります。
特に、タイトなパンツやストッキングを長時間履いている人、毎日おりものシートを使っている人は要注意です。
放置すると、骨盤内感染症や子宮内膜炎に発展することもあります。
妊娠中の方は特に注意が必要で、早産や前期破水のリスクが高まるという報告もあるのです。
「そのうち治るだろう」と軽く考えず、気になったら早めに婦人科を受診しましょう。
カンジダ腟炎
二番目に多いのがカンジダ腟炎です。
「カンジダ=かゆい」というイメージが強いですが、実はかゆみがほとんどない場合もあります。
ニオイの特徴は、ヨーグルトが少し酸っぱくなったような、発酵臭に近い印象です。
カンジダは誰もが持っている常在菌ですが、免疫力が下がったり、蒸れた環境が続いたりすると一気に増殖します。
梅雨時期や夏場、生理前後は特に発症しやすいタイミングです。
また、おりものの状態にも特徴があって、白くポロポロしたカッテージチーズ状のタイプが有名ですが、実は水っぽくて量が多いタイプのカンジダもあります。
「ズボンまで臭う」というレベルになるのは、カンジダが悪化して雑菌も混ざっているケースといえるでしょう。
単なるカンジダだけでは、ここまで強いニオイにはならないことが多いです。
蒸れ・汗・尿もれ・下着素材
そして見落とされがちなのが、生活環境の問題です。
感染症がなくても、蒸れや汗、わずかな尿もれ、下着の素材によって強いニオイが発生することがあります。
実は最も多いのは、「軽度の感染+蒸れや汗」という複合パターン。
どちらか一方だけではそれほど強くないニオイでも、組み合わさることでズボンまで届くほど強くなってしまうのです。
特にポリエステルやナイロンなどの化学繊維の下着は通気性が悪く、湿気がこもりやすくなります。
さらにスキニーパンツやタイトなパンツスタイルが日常的だと、常に蒸れた状態が続き、雑菌が繁殖しやすい環境になります。

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デスクワークで長時間座りっぱなしの人も、同じ理由でニオイが強くなりがちです。
色・量・状態で分かる「今すぐ受診すべき異常サイン」

「病院に行くべきか、様子を見ていいのか」この判断が一番難しいですよね。
ここでは、おりものの色・量・状態から、受診が必要なサインを具体的に解説します。
これらの症状があったら、迷わず婦人科を受診してください。
色が「灰色・黄緑・茶褐色」
健康なおりものは透明から白っぽい色をしています。
少し黄色がかっていても、透明感があれば問題ないことがほとんどですが、灰色や黄緑色、茶褐色といった色になっている場合は要注意です。
灰色のおりものは細菌性腟症の典型的なサインで、先ほど説明した生臭いニオイとセットで現れることが多いです。
黄緑色は、トリコモナス腟炎や淋菌感染症の可能性があります。これらは性感染症の一種で、パートナーと一緒に治療する必要があります。
茶褐色のおりものは、古い血液が混ざっている状態です。
生理の前後であれば心配ないことが多いですが、生理と関係ないタイミングで続く場合は、子宮内膜症やポリープ、まれに子宮頸がんなどの可能性も考えられます。
特に性交後に茶色いおりものが出る場合は、早めに検査を受けましょう。
量が「ズボンにまで染みてくる水っぽさ」
おりものの量は個人差が大きく、排卵期には増えるのが普通です。
しかし、ズボンにまで染みてくるほどの水っぽいおりものが続く場合は、何らかの異常を疑うべきです。
水のようにサラサラで量が極端に多い場合、卵管からの分泌物が漏れている可能性もあります。
また、破水との区別も重要で、妊娠中でなくても、子宮頸管に問題があると水っぽい分泌物が増えることがあるのです。
トリコモナス腟炎も、泡状で水っぽい大量のおりものが特徴です。
黄緑色で悪臭を伴うことが多いので、これらの症状が揃っていたら、必ず婦人科を受診してください。
状態が「泡状・糸を引く・血混じり」
おりものの性状も重要な判断材料です。
泡状のおりものはトリコモナス腟炎の特徴的なサインで、細かい泡が混じっていて、グレーっぽい色をしていることが多いです。
糸を引くようなネバネバしたおりものは、排卵期であれば正常な現象で、卵白のように透明で伸びるおりものは、むしろ健康な証拠です。
ただし、排卵期以外でも常に粘り気が強い、色がついている、ニオイが強いといった場合は、カンジダや他の感染症の可能性があります。
血が混じったおりものは、必ず原因を確認すべきです。
鮮血が混じる場合は、子宮頸部のびらんや炎症、外傷などが考えられます。
茶色い血が混じる場合は、不正出血の可能性があり、いずれにしても、生理以外のタイミングで血が混じる状態が続くなら、検査を受けることをおすすめします。
症状として「かゆみ・痛み・性交痛・発熱」
ニオイだけでなく、他の症状がある場合は特に注意が必要です。
外陰部のかゆみや痛みは、カンジダ腟炎や接触性皮膚炎、場合によってはヘルペスなどのサインです。
かゆみが強くて夜も眠れない、赤く腫れている、といった状態なら、すぐに受診してください。
性交痛がある場合は、膣の炎症だけでなく、骨盤内の炎症や子宮内膜症の可能性も考えられます。
「セックスのときに痛い」というのは我慢すべき症状ではありません。
パートナーとの関係にも影響しますし、放置すると不妊の原因になることもあるのです。
発熱を伴う場合は、感染が膣だけでなく子宮や卵管にまで広がっている可能性があります。
下腹部痛や腰痛とセットで発熱がある場合は、骨盤内炎症性疾患(PID)かもしれません。
これは緊急性が高い状態なので、夜間や休日でも救急外来を受診することを検討してください。
今日からできるニオイ軽減ステップで今すぐ対策しよう!

「とりあえず今すぐどうにかしたい!」そんなあなたのために、今日から実践できる具体的な対策をご紹介します。
病院に行く前に、まずはこれらを試してみてください。
多くの場合、生活習慣を見直すだけでかなり改善します。
Step1:通気性の良い下着+即着替え
まず最優先で見直すべきは下着です。
ポリエステルやナイロンの下着は見た目は可愛いものが多いですが、通気性が悪く蒸れやすいのが難点です。
綿100%の下着に変えるだけで、驚くほど改善することがあります。
綿は吸湿性・通気性に優れていて、肌にも優しい素材です。特にボクサータイプよりも、ゆったりとしたショーツタイプがおすすめです。
締め付けが少ない方が、空気の流れができてニオイがこもりにくくなります。
そして意外と見落とされがちなのが、「即着替え」の重要性です。汗をかいたら、下着だけでもすぐに取り替えるようにしましょう。
外出先では難しいかもしれませんが、帰宅したらまず下着を着替える習慣をつけるだけでも違います。

編集部
替えの下着をバッグに入れておくと、外出先でも対応できて安心ですよ。
Step2:おりものシートは“こまめに交換”が効果のカギ
おりものシートは便利なアイテムですが、使い方を間違えると逆効果になってしまいます。

編集部
一日中同じシートをつけっぱなしにしていませんか?それ、実はニオイを悪化させる原因なんです。
おりものシートは湿気を閉じ込める構造になっているため、長時間使用すると雑菌が繁殖しやすくなります。
理想は2〜3時間ごとの交換ですが、最低でも午前・午後・夕方の3回は替えるようにしましょう。
「もったいない」と思うかもしれませんが、健康のための投資だと思ってください。
また、おりものシートを使わない日を作ることも大切です。
家にいる日は使わずに、下着を頻繁に替える方が、膣内環境には良いこともあります。
「常に使わなきゃいけない」と思い込まず、状況に応じて使い分けてみてください。
Step3:デリケートゾーンの洗い方
「ニオイが気になるからしっかり洗わなきゃ」その気持ちは分かりますが、ちょっと待ってください。
デリケートゾーンは洗いすぎると、かえってトラブルを招くことがあるんです。
膣には自浄作用があり、善玉菌が悪玉菌の増殖を抑えています。
しかし、石鹸でゴシゴシ洗うと、この善玉菌まで洗い流してしまうのです。
特に膣の中まで洗うのは絶対にNGで、自浄作用を破壊して、感染症にかかりやすくなってしまいます。
正しい洗い方は、外陰部だけを優しく洗うこと。
専用のデリケートゾーンソープを使うのがベストですが、なければぬるま湯だけでも十分です。
洗うときは指の腹で優しく、前から後ろへ。決してタオルでゴシゴシこすらないでください。
そして洗った後は、しっかり乾かすことも忘れずに。
洗う頻度は1日1回で十分です。シャワーを浴びるたびに毎回石鹸で洗う必要はありません。
夏場で汗をかいたときは、水やぬるま湯で軽く流す程度にとどめましょう。
Step4:ズボンや下着のニオイ残りを防ぐ洗濯法
きちんと洗濯しているのに、ズボンや下着からニオイが取れない…そんな経験はありませんか?

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それは洗濯方法に問題があるかもしれません。
おりものや汗のニオイは、普通に洗濯しただけでは落ちにくいもの。
特にタンパク質汚れは繊維に残りやすく、雑菌が繁殖してニオイの原因になります。
対策として、酸素系漂白剤を使った予洗いがおすすめです。
40度くらいのぬるま湯に酸素系漂白剤を溶かし、30分ほどつけ置きしてから通常の洗濯をすると、ニオイがスッキリ落ちます。
また、洗濯後はなるべく早く干すことも重要です。
洗濯機の中に長時間放置すると、雑菌が繁殖してしまいます。
そして意外と盲点なのが、洗濯槽の汚れです。
洗濯槽が汚れていると、せっかく洗った衣類に雑菌が付着してしまいますので、月に1回は洗濯槽クリーナーでお手入れしましょう。
紫外線には殺菌効果があるため、デリケートゾーンに触れる下着やズボンは、できれば日光に当てて干すのが理想的です。
室内干しの場合は、除湿機やサーキュレーターを使って、しっかり乾かすことが大切です。
Step5:繰り返すなら婦人科で数分の検査が最速
ここまでの対策を試しても改善しない、あるいは一時的に良くなってもすぐ再発するといった場合は、婦人科での検査が最も確実で早い解決方法です。
「病院に行くのは恥ずかしい」「大げさかも」と思うかもしれませんが、検査自体は本当に簡単で、数分で終わります。
おりものの検査は、綿棒で膣内の分泌物を少し採取するだけで終わり、痛みはほとんどありません。
その場で顕微鏡検査をしてくれる病院なら、当日中に結果が分かることもあります。
原因菌が特定できれば、それに合った治療薬を処方してもらえるので、自己流で対策するよりずっと早く治ります。
細菌性腟症なら膣剤や内服薬、カンジダなら抗真菌剤といった具合に、原因に応じた治療が受けられます。
たいていは1週間程度の治療で劇的に改善しますよ。
仕事・学校・外出中にニオイをバレさせない方法

日常生活の中で「今まさにニオイが気になる!」というシーン、ありますよね。
会議中、満員電車の中、デート中…。そんなときにすぐできる応急処置と、ニオイを漏れにくくする工夫を紹介します。
外出先での応急処置
外出中に「やばい、臭うかも」と感じたときの対処法をお伝えします。
まず持ち歩くべきは、替えの下着とおりものシートで、これは必須アイテムです。コンビニやドラッグストアで買えるので、気づいたときに買い足しておきましょう。
トイレに行ったら、まずおりものシートを交換します。可能なら、トイレットペーパーを少し湿らせて外陰部を軽く拭くと、さらにスッキリします。
市販のデリケートゾーン用ウェットシートは、アルコールが含まれているものもあるので注意が必要です。刺激が強いと、かえって炎症を起こすことがあります。
あとは、通気性を確保することも大切です。
座りっぱなしだった場合は、トイレ休憩のついでに少し立ち歩いて、空気を循環させましょう。
スカートを履いている場合は、トイレで少し裾を広げてパタパタと風を通すだけでも違います。
座ったときのニオイが気になる場合の工夫
デスクワークや授業中など、長時間座っているとニオイが気になる…という方も多いはずです。
座っている姿勢は、どうしてもデリケートゾーンが密閉された状態になり、蒸れやすくなります。
こまめに立ち上がって姿勢を変えることが第一ですが、仕事中はなかなか難しいですよね。
そんなときは、座り方を工夫してみましょう。
太ももをぴったりくっつけて座るより、少し開き気味にする方が空気が通ります。
また、クッションを使うのも効果的です。
お尻の下に通気性の良いメッシュクッションを敷くと、直接椅子に密着しないので蒸れにくくなります。

編集部
オフィスや学校で使えるシンプルなデザインのものもたくさんありますよ。
ズボンの素材別の“ニオイが漏れにくい”選び方
ズボンの素材によってニオイの漏れやすさが変わることもあります。
化学繊維100%の素材は、通気性が悪くニオイがこもりやすい上に、繊維自体にニオイが染み付きやすいという特徴があります。
おすすめは、通気性が良く、ニオイも比較的漏れにくい綿やリネンなどの天然素材です。
仕事でスーツを着る必要がある場合でも、ウール混の素材を選ぶと、ポリエステル100%よりはマシです。
また、色にも注目しましょう。濃い色や柄物は、万が一おりものが染みてしまったときに目立ちにくいです。
白やベージュなどの淡い色は避けた方が無難でしょう。
そして形状も大事です。スキニーパンツやピッタリしたパンツより、ゆとりのあるワイドパンツやガウチョの方が、空気の流れができて蒸れにくくなります。
ファッションと健康のバランスを考えて、選んでみてくださいね。
そもそもなぜズボンまで臭うほどニオイが強くなるのか?

ここまで対策を見てきましたが、そもそもなぜズボンまで臭うほど強いニオイが発生するのでしょうか。
メカニズムを理解すると、より効果的な予防ができるようになります。
膣内pHの乱れによる菌の増殖
健康な膣内は、pH3.8〜4.5という弱酸性に保たれています。
この環境を作っているのが、乳酸桿菌(デーデルライン桿菌)という善玉菌ですが、この菌が乳酸を産生することで、膣内が酸性になり、悪玉菌の増殖を防いでいるのです。
しかし、ストレスや疲労、抗生物質の使用、過度な洗浄などによって、この善玉菌が減少すると、pHがアルカリ側に傾きます。
するとそれまで抑えられていた雑菌が一気に増殖し始めるのです。
特に問題なのが、ガードネレラ菌などの嫌気性菌で、これらの菌は、トリメチルアミンという物質を作り出します。

編集部
これが魚の腐敗臭の正体で、つまりあの生臭いニオイは、菌が活動している証拠なんです。
汗・摩擦・下着素材がニオイを凝縮させる構造
膣内で発生したニオイ物質は、おりものに混ざって体外に出てきます。
通常ならそこまで強いニオイではないのですが、汗や摩擦、下着の素材という「外的要因」が加わることで、ニオイが凝縮され、強くなってしまうのです。
デリケートゾーンは、アポクリン汗腺という特殊な汗腺が多く存在する部位ですが、この汗腺から出る汗は、皮膚の常在菌によって分解されると、独特のニオイを発します。
おりものの臭いと汗の臭いが混ざり合うことで、さらに複雑で強いニオイになるというわけです。
また、下着とズボンという二重の布に覆われているため、ニオイ物質が閉じ込められて濃縮されます。
特にポリエステルなどの化学繊維は、ニオイ分子を吸着しやすく、一度染み付くとなかなか取れません。
歩くたびに生地がこすれて摩擦熱が発生し、それがさらにニオイを拡散させるという悪循環が起きているのです。
生理周期(排卵前後)によるニオイの変動
女性の体は、生理周期によってホルモンバランスが変化するため、それに伴って、おりものの量や質も変わり、ニオイの強さも変動します。
生理前は、プロゲステロンというホルモンが優位になり、膣内のpHがやや上がる傾向があります。
このため、普段は問題なくても生理前だけニオイが強くなる、ということが起こりやすいのです。
生理中は血液が混ざるため、独特の生臭さが出ます。
経血自体は無臭ですが、空気に触れて酸化したり、雑菌が繁殖したりすることで臭いが発生します。
生理後は、残った経血が茶色いおりものとして出てくることがあり、これもニオイの原因になります。
自分の生理周期とニオイの関係を観察してみると、パターンが見えてくるかもしれません。
「排卵期は特に気をつける」「生理前はこまめにケアする」といった具合に、サイクルに合わせた対策が立てられますよ。
妊娠中・更年期・ピル使用中のおりものニオイの特徴

女性の体はライフステージによって大きく変化します。
それぞれの時期で、おりものやニオイにも特徴があるので、知っておくと安心です。
妊娠中の注意点
妊娠すると、ホルモンバランスが大きく変化し、おりものの量が増えるのが普通です。
これは赤ちゃんを守るための正常な反応ですが、量が増える分、ニオイも気になりやすくなります。
妊娠中は免疫力が低下するため、カンジダ腟炎にかかりやすくなります。
また、細菌性腟症も要注意ですので、「妊娠中だから仕方ない」と放置せず、気になったら必ず医師に相談してください。
妊娠中はデリケートゾーンが敏感になっているので、洗いすぎには特に注意し、ぬるま湯で優しく洗う程度にとどめましょう。
また、おりものシートも刺激の少ないものを選び、こまめに交換することが大切です。
更年期の腟内環境変化
更年期になるとエストロゲンが減少し、膣の粘膜が薄くなって乾燥しやすくなりますが、これを「萎縮性腟炎」と言います。
おりものの量は減るのですが、自浄作用も弱まるため、実は感染症にかかりやすくなるのです。
また、膣が乾燥することで、わずかな刺激でも炎症を起こしやすくなり、血が混じったおりものが出ることもあります。
ニオイとしては、生臭いというより、少しツンとした刺激臭を感じることが多いようです。

編集部
更年期のデリケートゾーンケアは、保湿が鍵です。
専用の保湿剤もありますし、婦人科で相談すれば、エストロゲンを含む膣用クリームを処方してもらえることもあります。
「年齢のせいだから」と諦めず、快適に過ごせる方法を探してみてください。
ピル使用中のニオイ変化
経口避妊薬(ピル)を服用すると、ホルモンバランスが人工的にコントロールされるため、おりものの状態が変わることがあります。
多くの場合、おりものの量は減りますが、中には逆に増えたという人もいます。
ピルにはエストロゲンとプロゲステロンが含まれており、これが膣内環境に影響を与えます。
特にプロゲステロン優位の状態が続くと、膣内がややアルカリ性に傾きやすく、カンジダなどの感染症にかかりやすくなることがあります。

編集部
ピルを飲み始めてからニオイが気になるようになった、という場合は、医師に相談してみましょう。
ピルの種類を変えることで改善することもありますし、膣内環境を整えるケアを併用することで対処できることもあります。
よくある質問

最後に、多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。
1日だけズボンまで臭った場合は病気?
1日だけ、一時的にニオイが強くなることは、必ずしも病気とは限りません。
- 汗をたくさんかいた日
- 疲れがたまっていた日
- 辛いものを食べた後など
一時的な要因で臭いが強くなることもあります。
ただし、2〜3日経っても改善しない、あるいは定期的に繰り返す場合は、何らかのトラブルがある可能性が高いです。
まずは生活習慣の見直しを試して、それでも続くようなら婦人科を受診しましょう。
ニオイだけ強い場合も病院へ行くべき?
かゆみや痛みがなく、ニオイだけが強い場合でも、受診する価値は十分にあります。
特に細菌性腟症は、かゆみなどの自覚症状がほとんどなく、ニオイだけが目立つことが多い病気です。
「症状がニオイだけだから恥ずかしい」と思う必要はありません。
ニオイも立派な症状の一つであり、婦人科医は日常的にこうした相談を受けているので、気軽に相談してみてください。
おりものシートで悪化することはある?
おりものシートは、使い方を間違えると悪化することがあります。
最も多いのが、長時間つけっぱなしにすることで起こる蒸れと雑菌の繁殖です。
おりものシートは便利ですが、こまめに交換しないと逆効果になってしまいます。
また、香り付きのおりものシートや、デリケートゾーン用ウェットシートも、人によっては刺激が強すぎることがあります。
肌が敏感な方は、無香料・無添加のものを選ぶようにしましょう。
性交渉が原因でニオイが強くなることはある?
性交渉後に一時的にニオイが強くなることはあります。
精液はアルカリ性なので、膣内のpHバランスが一時的に変わるためです。
通常は数時間〜1日程度で元に戻りますが、もともと膣内環境が不安定だと、それをきっかけに細菌性腟症などを発症することもあります。
また、性感染症(STI)の可能性も忘れてはいけません。
トリコモナス、淋菌、クラミジアなどは性交渉で感染し、おりものの異常やニオイの原因になります。
パートナーが変わった後、あるいは相手に症状がある場合は、必ず検査を受けましょう。
病院へ行くときの準備と流れを知りたい
婦人科受診が初めてで不安な方へ基本的な流れをお伝えします。
まず、予約の際に「おりものの異常で受診したい」と伝えましょう。
当日は、生理中でなければいつでも受診できます。
持っていくものは、保険証とつけている場合は、基礎体温表を持参します。
問診では、最終月経日、症状が始まった時期、他の症状の有無などを聞かれます。
性交渉の経験の有無も聞かれますが、これは検査方法を決めるために必要な情報なので、正直に答えてください。
内診では、専用の器具を使って膣内を観察し、おりものを採取します。
痛みはほとんどありませんが、検査自体は数分で終わりますので、力を抜いてリラックスすることが大切です。
結果は、顕微鏡検査なら当日、培養検査なら数日〜1週間後に分かります。
原因が分かれば、それに合った薬を処方してもらえるので、指示通りに使用しましょう。
まとめ

ズボンまで臭うおりものは、決して「恥ずかしくて相談できない」悩みではありません。
多くの女性が経験していて、しかもほとんどの場合、適切な対処で改善できるものです。
異常のサインは自分では気づきにくいものです。
「これくらい大丈夫」と思っていても、実は体が助けを求めているサインかもしれません。
色や量、状態の変化を見逃さず、気になったら早めにチェックしましょう。

編集部
あなたの体は、あなたが守るしかありません。
一人で悩まず、できることから始めて、必要なら専門家の力を借りる。それが、快適な毎日を取り戻す一番の近道です。