シミ取り治療で失敗しないためには、レーザーの種類ごとの性能を把握しておくことが重要です。
この記事では、レーザーの種類ごとに分けて、機器ごとの特徴や失敗例についての解説を行います。
編集部
シミ取りレーザーの施術後の注意点もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
シミ取り治療で使われるレーザーの種類
シミ取り治療のなかでも、レーザーを使用してシミの原因となるメラニン色素を破壊する“シミ取りレーザー”は、とくに人気がある治療法です。
シミ取り治療で使われるレーザーの主な種類は、以下の通りです。
- Qスイッチヤグレーザー
- Qスイッチルビーレーザー
- レーザートーニング
- ピコレーザー
ここでは、シミ取り治療で使われる主なレーザーの種類について解説するので、ぜひ参考にしてください。
Qスイッチヤグレーザー
Qスイッチヤグレーザーは、シミ取り治療の最もスタンダードなレーザー治療器で、多くのクリニックで導入されています。
1台で「532nm」と「1064nm」2つの波長を使い分けることで肌の浅い部分から深い部分まで治療をすることが可能です。
編集部
Qスイッチヤグレーザーのレーザーは、特定の色素だけに反応して色素を破壊するため、周辺の皮膚などのダメージを最小限に抑えられるのが特徴です。
シミにはいくつか種類がありますが、一般的なシミといわれている老人性色素斑以外にもそばかすや炎症後色素沈着の改善の効果も期待できます。
また、均一で安定した照射モードも使用できるため、これまでのレーザーでは治療が難しかった“肝斑”の治療にも使用できるのもポイントです。
ひとつひとつのシミをピンポイントで治療する仕様なので、一般的なシミやそばかすなどであれば、1回の施術でシミを取ることもできますよ。
Qスイッチルビーレーザー
Qスイッチルビーレーザーとは、メラニン色素を効果的に破壊するレーザー機器で、シミのような色素疾患に効果的です。
メラニン色素の吸収率が高いとされる「694nm」という波長を持っているため、メラニン性皮膚色素疾患の治療に使用されています。
Qスイッチルビーレーザーは、メラニン色素だけを選択的に破壊してくれるので、シミ部分以外の正常な組織を傷つけることなく治療が可能です。
項目 | Qスイッチヤグレーザー | Qスイッチルビーレーザー |
---|---|---|
波長 | 532nm、1,064nm | 694nm |
出力 | 高い | それほど高くない |
肝斑治療 | 可能 | 不可 |
QスイッチヤグレーザーとQスイッチルビーレーザーの大きな違いは、波長にあります。
Qスイッチルビーレーザーは「694nm」と1つの波長を持つのに対して、Qスイッチヤグレーザーは「532nm / 1,064nm」と2つの波長を持つのであらゆる色素性疾患に対応できます。
また、Qスイッチルビーレーザーは“3準位系のレーザー”であるのに対して、Qスイッチヤグレーザーは“4準位系のレーザー”となりますので、出力や効率がQスイッチヤグレーザーの方が工業的なスペックは高いのです。
さらに、Qスイッチヤグレーザーは通常のレーザー機器では治療が難しいとされる肝斑の治療も可能ですが、Qスイッチルビーレーザーは“効果がない”とされています。
ただ、Qスイッチルビーレーザーはメラニン色素の吸収率が高い波長帯を持ち、シミが反応するちょうどいいパルス幅で照射することができる強みがあります。
レーザートーニング
レーザートーニングとは、顔全体に低い出力でレーザーを均一に照射することで、シミやくすみ、肝斑の改善が期待できる施術です。
通常のシミのレーザー治療はシミがある部分にピンポイントでレーザーを照射してメラニン色素を除去する仕組みですが、レーザートーニングは低い出力で顔全体に照射することでターンオーバーを促します。
編集部
ターンオーバーを促して皮膚に残留しているメラニンを排出することによって、シミだけでなく肌のくすみの改善やトーンアップ、肌質改善の効果も期待できます。
レーザートーニングは、従来治療が難しかった肝斑治療にも有効な治療法なので、肝斑にお悩みの方にもおすすめですよ。
肝斑とは、頬や額、あご、口周辺などにできる薄茶色の色素斑です。
一般的なシミ(老人性色素斑)は紫外線や加齢の影響で発生しますが、肝斑はホルモンバランスの乱れが原因で発生します。
肝斑は、一般的なシミとは違い、左右対称で、ぼんやりと境界がハッキリせず形が分かりにくいのが特徴です。
30歳代~40歳代くらいの女性で、妊娠や出産・更年期・ピル・ストレスなどによって女性ホルモンのバランスが乱れたときに発生しやすくなるといわれています。
ピコレーザー
ピコレーザーとは、従来のレーザー機器よりも短い照射時間でレーザーを照射できるレーザー機器で、シミやそばかす、肝斑などが気になる方におすすめの施術です。
従来のレーザー機器はナノ秒(10億分の1秒)の照射時間でしたが、ピコレーザーであればピコ秒(1兆分の1秒)で照射できます。
編集部
これまでよりも短い時間で照射できるため、正常な皮膚へのダメージを軽減し、効果的に肌悩みを改善に導くことが可能です。
ピコレーザーには、以下3つの照射方法があります。
ピコトーニング | ピコフラクショナル | ピコスポット | |
---|---|---|---|
特徴 | 顔全体に均等に低出力のレーザーを当てる治療 | 肌内部に小さい空胞をつくり、創傷治癒効果を引き出す治療 | 高出力のレーザーで一気にメラニンを破壊する治療 |
適用 | 肝斑 シミやくすみ 肌のトーンアップ | ニキビ跡 毛穴の開き 小ジワ 肌質改善 | シミ・そばかす・黒子 色素沈着 タトゥー除去 |
ダウンタイム | 1〜2日程度 | 5日〜1週間程度 | 1〜2週間程度 |
「ピコトーニング」「ピコフラクショナル」「ピコスポット」の3つの照射方法を使い分けることで、患者一人ひとりの肌の状態に合わせて治療を行うことが可能です。
シミ取りレーザー治療の失敗例
シミ取りレーザー治療には、どのような失敗のリスクがあるのでしょうか?
ここでは、シミ取りレーザー治療の失敗例を4つ紹介します。
シミ取りレーザー後に色素沈着になった
シミ取りレーザーは、肌にレーザーによる熱エネルギーを与えます。
熱エネルギーによって、シミ取りレーザー後には一時的に火傷のような炎症がおきている状態となります。
炎症が起きている状態になると、色素細胞が活性化してメラニン色素が生成されることによって色素沈着を起こしてしまう可能性があります。
炎症後色素沈着には個人差がありますが、6か月程度で自然に消失するのが一般的です。
編集部
ただ、日常のケアを怠ってしまうと炎症後色素沈着が定着してしまう恐れがあるため、アフターケアをしっかりと行いましょう。
シミ取りレーザー後にかさぶたになった
シミ取りレーザー後にかさぶたになったことで、シミ取りレーザーが失敗したと感じる方もいます。
しかし、実はシミ取りレーザーの数日後にかさぶたができるのは自然な経過です。
かさぶたができる理由は、シミ取りレーザーによって破壊されたメラニン色素が排出されることで、表皮が損傷してしまうから。
かさぶたは新しく再生される皮膚を保護する役割があるため、無理にはがさずに自然に脱落するのを待ってください。
編集部
無理にかさぶたをはがしてしまった場合には、出血や色素沈着を引き出すこともあるため、注意が必要です。
シミ取りレーザー後にシミが再発した
シミ取りレーザーの失敗例としてよく挙げられるのが、シミの再発です。
シミ取りレーザー後にシミが再発するのには、以下の原因が考えられます。
- 炎症後色素沈着
- 新しくできたシミ
シミ取りレーザーの後には、肌が炎症が起きている状態になり、色素細胞が活性化してメラニン色素が生成されることによって色素沈着を起こしてしまう可能性があります。
シミ取りレーザー後には肌への負担を減らすためにも、アフターケアを怠らないように心掛けましょう。
また、顔はもともとシミができやすい部位であるため、シミ取りレーザー後にシミ予備軍が浮き出てしまうこともあります。
シミ取りを行った部分と近い位置にあった場合、シミが再発したと感じてしまう人も多いのです。
編集部
紫外線や加齢などの影響で肌にはシミがどんどんつくられていますので、新たなシミを予防することが大切です。
シミ取りレーザーをしてもシミが取れなかった
シミ取りレーザー後に「シミが取れなかった…」と後悔してしまうケースもあります。
シミ取りレーザーをしてもシミが取れない原因としては、以下のことが挙げられます。
- シミの種類を間違えていた
- 出力が適切でなかった
- アフターケアを怠ってしまった
シミの種類によって、適するレーザー機器は異なるため、シミの種類が診断と異なっていた場合には、シミが取れないことがあります。
また、シミ取りレーザーの出力が不十分だった場合には、メラニン色素を破壊しきることができず「シミが取れなかった」という事態になってしまうのです。
編集部
このような事態を防ぐためには、実績や経験が豊富な信頼できるクリニックや医師を見つけるのをおすすめします。
シミ取りレーザー施術後の注意点
シミ取りレーザーは、肌にレーザーによる熱エネルギーを与えてメラニン色素を破壊しますが、その熱エネルギーによって肌はダメージを受けて一時的に火傷のような炎症がおきている状態になります。
そのため、シミ取りレーザー施術後は、紫外線や擦れなどが原因で色素沈着を引き起こしやすくなるので、注意が必要です。
- シミ取りレーザーのダウンタイム:7~10日程度
- ダウンタイムの症状:痛み・赤み・水ぶくれ・かさぶたなど
ダウンタイム中は、肌への刺激を避けて、ケアを徹底しましょう。
また、シミ取りレーザー後には、肌を外部刺激から守り乾燥を防ぐ目的で保護テープを張りますが、気になっても自分の判断で剥がさず、医師の指示に従って使用してください。
シミ取りレーザー後の適切なケア
シミ取りレーザー後には、しっかりとアフターケアをする必要があります。
紫外線は肌にダメージを与えますので、外出時はできるだけ日光を避け、十分な紫外線対策を行いましょう。
まとめ
今回の記事のポイントは、以下の通りです。
- シミの種類によって適したシミ取りレーザーの種類は異なる
- シミ取りレーザーで失敗しないためにはクリニック・医師選びが重要
- シミ取りレーザー後には肌の刺激を避ける
- シミ取りレーザー後のアフターケアはしっかりと!
シミ取りレーザーにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や適用するシミの種類が異なります。
編集部
シミ取りレーザー後に「失敗した…」と後悔してしまうケースもありますが、実績や経験が豊富な信頼できるクリニック・医師を選ぶことで失敗する確率を減らすことが可能です。
シミ取りレーザー後には、肌はダメージを受けて敏感な状態になっているため、できるだけ肌の刺激を避けることが重要です。
保護テープやかさぶたは煩わしくても自分の判断で剥がさずに、紫外線対策などのアフターケアをしっかりと行いましょう。